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ヤフオクの買取事業者との取引、同意すると売る相手が変わる ── 代金は変わらないが契約は別物になる

ヤフオクの出品画面に出る「出品される商品は当社提携先の買取事業者との取引となる場合があります」の案内について、同意したときに何が起きるのかを公式ヘルプから整理しました。代金は変わりません。契約は落札者との間で終了し、買取事業者との新しい契約に置き換わりますが、落札者が支払義務を併存的に引き受けるため、受取方法も金額も従来どおりです。相手が本人確認を経た事業者になるためトラブルは減る方向です。一方で「個人関連情報の提供」が何を指すのかは公開されていません。判断材料を整理します。

ヤフオクの買取事業者との取引、同意すると売る相手が変わる ── 代金は変わらないが契約は別物になる

前回の記事では、出品画面に出るようになった案内が何なのか、本人確認で何を求められるのかを整理しました。

そのあと公式ヘルプに、同意したときに契約と代金がどう扱われるかの説明が加わっています。出品者が気にするのは、突き詰めれば3つだと思います。

  1. 代金は変わるのか
  2. トラブルは減るのか、増えるのか
  3. 個人情報はどう扱われるのか

順に見ていきます。

1. 代金は変わるのか ── 変わりません

同意して本人確認が完了すると、落札者との売買契約は合意解除により終了し、買取事業者との間で新しい売買契約が成立します。出品者から見ると、売る相手が入れ替わります。

契約が変わると代金の受け取りが心配になりますが、そこは手当てされています。

新しい契約の代金について、落札者が買取事業者の支払義務を併存的に引き受けます。「併存的に」とは、買取事業者の義務が消えないまま落札者も同じ義務を負うという意味です。結果として、買取事業者と落札者の両方が、出品者に対して代金の支払義務を負います

元の契約が終了したことで出品者が落札者に返すべきお金が生じますが、これは落札者が新たに負った支払義務と同額で相殺され、精算されます。

差し引きすると、受取方法も受取金額も変わりません。通常どおり取引を進められます。

それどころか、支払義務を負う相手が1者から2者に増えるため、代金の回収という点では出品者の立場は強くなっています

2. トラブルは減るのか ── 減る方向です

相手が、古物営業法に基づく本人確認を経た事業者になります。受取連絡をしない、届いてから難癖をつけて返品を迫る、連絡が取れなくなる。個人間取引で起きがちな事故は、事業者相手では起きにくくなります。

発送や受け取りの窓口は、買取事業者の代わりに購入代行事業者が務めます。落札者として画面に出ている相手が、そのまま実務の窓口になるということです。

輸出代行業者とは似ているようで違う

落札者が代行事業者で、実際の買い手が別にいる。この形は輸出代行業者への販売とよく似ています。個人ではなく事業者が相手になるので、取引が事務的に進むのも同じです。

ただし輸出代行では契約は組み替わりません。落札者は最後まで代行業者で、出品者と代行業者の売買契約がそのまま完結します。その先で誰の手に渡るかは、出品者の関知するところではありません。

買取事業者との取引では、契約相手そのものが途中で入れ替わります。ここが違います。実務上の手触りは輸出代行に近く、契約の構造は別物、と考えるのが正確です。

3. 個人情報はどう扱われるのか ── ここだけ答えが出ません

出品画面の案内には、もうひとつ分かりにくい一文があります。提携先から個人関連情報の提供を受け、ヤフオクが保有する個人情報と紐付けて利用することがある、という部分です。

言えること

個人関連情報は、個人情報保護法の定義語です。生存する個人に関する情報のうち、個人情報・仮名加工情報・匿名加工情報のいずれにも該当しないものを指します。Cookie などの端末識別子を通じて集められた閲覧履歴、商品の購買履歴やサービスの利用履歴が、これにあたります。単体では誰のものか分からないデータです。

重要なのはその先です。提供先の第三者がそれを個人データとして取得することが想定される場合、提供先で本人の同意が得られていることを提供元が確認しなければならないと定められています (法31条1項)。

あの一文は、ここに対応したものと読めます。買取事業者の側では誰のものか分からないデータでも、ヤフオクのアカウント情報と紐付いた瞬間に個人データになる。だから事前に告知して同意を得る、という構造です。あの案内が出ていること自体が、法律の要求に従った結果だということです。

言えないこと

一方で、次の3点は公開されている情報からは読み取れません。

  • 提供される個人関連情報が、具体的に何か
  • 紐付けの対象が、出品者か落札者か、その両方か
  • 提携先の買取事業者が、どこの誰なのか (名称は公開されていません)

公式ヘルプには「個人関連情報」という語自体が一度も出てきません。出品画面の案内文にしか書かれていない状態です。

つまり出品者は、渡るデータの中身も、相手の名前も分からないまま、同意するかどうかを決めることになります。仕組みの形は説明されていますが、中身は説明されていません。

メリットとデメリット

ヘルプに書かれている範囲で整理します。

内容
メリット契約相手が本人確認を経た事業者になる
代金の支払義務を負う相手が2者になる
発送・受け取りの窓口は購入代行事業者が務める
受取方法・受取金額は従来どおり
デメリット初回はマイナンバーカードによる本人確認が必要
提供された個人関連情報が自分のアカウント情報と紐付く
中身が分からないまま同意することになる
一度断ると、その取引では戻せない

本人確認は初回だけです。同じ買取事業者との2回目以降で登録情報に変更がなければ、登録済みの情報の確認だけで済みます。

なお本人確認は、プロフィールの「本人確認済」バッジとは別物です。バッジが表示されていても、改めて手続きが必要になります。

断り方

希望しない場合は通常の取引として進められます。本人確認の手続きは不要です。

取引ナビの発送前の画面で、本人確認に関する案内が表示されたときに「取引を続ける」を選ぶ。これだけです。発送前までは、本人確認をしなくても取引を進められます。

一度「取引を続ける」を押すと、買取事業者との取引には戻せません。 判断の機会は発送前の1回だけです。

取引自体をキャンセルしたい場合は、別の手続きになります。

どう判断するか

代金は変わらず、回収の相手は増え、トラブルは減る方向。ここまでは確かです。引き換えに負担するのは初回の本人確認と、中身の分からないデータの紐付けです。

「本人確認が面倒だから」で反射的に断る前に、何を得て何を失うのかは見ておく価値があります。 一方で、中身が分からないものに同意しない、という判断も筋が通っています。

分かり次第、この記事に追記します。