ヤフオク売上 150 件を freee で処理した記録 ─ 取引タイプ判定と勘定科目振分けまで
ヤフオクで継続的に売上を立てている人なら、月末になって会計ソフトに売上を入れる作業が、出品作業とは別軸の 独立した工程 になっていることに気づいているはずです。落札ごとに勘定科目を当てて、税区分を割り当てて、ヤフオク手数料を別計上して、というのを 1 件ずつ手で打っていくと、それだけで月をまたぐ作業になります。
ヤフオクのデフォルトの売上金 CSV をそのまま freee に渡せれば話は早いのですが、フォーマットが合わず、freee 側で 「対応していないフォーマットです」 と弾かれます。途中に「現金振込」や「キャンセル」の行が混ざっているのも、そのまま売上として計上できない理由のひとつです。
そこで、Chrome 拡張機能 AucKit の 売上金 CSV 整形機能 を使って、ヤフオク 1 か月分の売上を freee の取引インポート画面にまとめて流し込んでみました。AucKit が裏側で何をしているのか、freee 側のどの画面に何を入れたのか、を順を追って整理します。
この記事はその検証記録です。
全体の流れ
ざっくり書くと、次の 3 ステップになります。
- ヤフオクの 売上金管理画面 で、その月の売上金 CSV をダウンロードする
- AucKit の 「売上金 CSV 整形」モーダル で、freee の取引インポート用 CSV に変換する
- freee の 取引のインポート画面 で、変換した CSV を取り込む
3 ステップ目が終わった時点で、ヤフオク落札者からの売上が、freee 内に 1 件ずつの取引 として並びます。仕訳プレビューも合わせて生成されるので、その後の月次処理として残るのは決済(入金)処理だけ、という状態になります。
ヤフオクのデフォルトの売上金 CSV は、freee にそのまま入らない
最初の壁はここです。
ヤフオクの売上金管理画面には 「CSV ダウンロード」 ボタンがあります。月を指定して押すと、その月の受け取り一覧が CSV で降ってきます。
ここまではいいのですが、降ってきた CSV をそのまま freee に投げると、freee は受け取ってくれません。理由は単純で、列の構成も内容も、freee が期待しているフォーマットと一致していないからです。
ヤフオクの CSV は 「取扱日 / 取扱内容 / 状態 / 金額 / 詳細」 のように、人間が画面で目視確認するための列構成です。一方、freee の取引インポートが期待しているのは 「収支区分 / 管理番号 / 発生日 / 取引先 / 勘定科目 / 税区分 / 金額 / 税計算区分 / 備考」 のように、会計データとしての列構成です。両者は別物なので、間に「変換」工程が必要になります。
それから、ヤフオクの CSV には 「売上金」以外の行 も混ざってきます。具体的には、月の途中で売上金を銀行口座に振り込んだ 「現金振込」 の行と、落札後に成立しなかった 「キャンセル」 の行です。これらをそのまま売上として freee に流すわけにはいきません。
結局のところ、この「変換」と「振分け」の作業を、出品者が自分で手作業でやるか、AucKit に任せるか、の選択になります。
AucKit が「売上金 CSV 整形」モーダルでやっていること
ヤフオクの売上金管理画面を、AucKit 拡張機能を入れた状態で開くと、CSV ダウンロードのリンクの横に 「AucKit で CSV 整形」 というボタンが追加で表示されます。
このボタンを押すと、その月のデータが読み込まれて、整形モーダルが開きます。
モーダル上部には、まず 月次集計 が表示されます。売上合計・決済金額合計・落札システム利用料・販売手数料・送料・現金振込合計、の 6 項目です。これは出品者が「目で見て確認する」ための表示で、印刷と PDF 保存にも対応しています。
その下に 「freee 連携: 取引インポート用 CSV を同時出力する」 のチェックボックスがあります。これを ON にしたうえで 「整形 CSV を zip でダウンロード」 を押すと、複数の CSV が入った zip が降ってきます。
zip の中身は 4 ファイルありますが、今回 freee に流し込みたいのは
売上金CSV_2026-06_freee_取引インポート.csv
の 1 ファイルだけです。残りの 3 ファイルは別の用途(月次明細の確認用・キャンセル一覧・現金振込一覧)で、今回の話には関係しません。
この freee 取込用 CSV は、AucKit がヤフオクの生の売上金一覧を次のように加工して作っています。
- 取引タイプの判定: 売上の行だけを残し、現金振込・キャンセルの行は除外する
- 勘定科目の一括振分け: 全行に「売上高」を入れる
- 取引先の一括入力: 全行に「ヤフオク落札者」を入れる
- 税区分の一括入力: 全行に「課税売上 10%」を入れる
- 税計算区分の一括入力: 全行に「内税」を入れる
- 備考の生成: 商品タイトル・オークション ID・その取引の利用料(ヤフオク手数料)を 1 つの備考欄にまとめる
freee が期待する 21 列(セグメント 1〜3 など、使わない列も含む)に、過不足なく揃った CSV が出力されます。エンコーディングは UTF-8 BOM 付きで、freee 側がそのまま読める形になっています。
取引タイプの判定: 売上・現金振込・キャンセルを分ける
AucKit が裏でやっている処理のうち、地味ですが大事なのが、この 取引タイプの判定 です。
ヤフオクの売上金管理の一覧には、次の 3 種類の行が混在しています。
- 売上の行(落札があって、売上金が増えたケース)
- 現金振込の行(売上金を銀行口座に下ろしたケース)
- キャンセルの行(落札後に取引が成立しなかったケース)
このうち、freee に「売上」として登録すべきなのは 最初の 1 種類だけ です。残りの 2 つは別の処理が必要で、現金振込は売上ではなく口座移動として、キャンセルは取消処理として扱います。
人間が目視で 1 件ずつ分ければ済む話ではあります。ただ、月ごとに繰り返しているうちに、1 件取り違えるだけで月次の数字がずれます。取り違えに気づくのは月の終わりに合計が合わなくなったときで、そこから原因を逆引きする手間が発生します。
AucKit は、売上金管理ページの各行の 「状態」欄 を読み取って判定します。
- 「売上金」と書かれた行 → freee 取込 CSV に「収入 / 売上高」として出力
- 「振込手続き完了」と書かれた行 → freee 取込 CSV には出力しない(別 CSV に分離)
- キャンセル状態の行 → freee 取込 CSV には出力しない(別 CSV に分離)
この判定が終わった時点で、freee 取込 CSV には 「売上の行だけ」 が残っています。
勘定科目の振分け: 「売上高 / 課税売上 10% / 内税」を全行に振る
判定が終わったあとは、勘定科目と税区分を全行に振っていく工程です。
ヤフオクで物販をやっている場合、「ヤフオク落札者からの入金」 はほぼ全件 「売上高 / 課税売上 10% / 内税」 に対応します。例外はあるものの、基本はこの組み合わせです。
AucKit の整形モーダルでは、勘定科目・取引先・税区分を、画面上の 3 つの入力欄でまとめて指定できるようになっています。デフォルト値は次のとおりです。
| 項目 | デフォルト値 |
|---|---|
| 勘定科目 | 売上高 |
| 取引先 | ヤフオク落札者 |
| 税区分 | 課税売上 10%(法人 / インボイス対象) |
事業者ごとに勘定科目名が違ったり、取引先名を別のものに統一したい場合は、ここを書き換えると、出力される CSV の全行に反映されます。
ここで 1 つ注意点があります。勘定科目名は、freee 側のマスタと完全に一致している必要があります。標準は「売上高」(末尾「高」)で、「売上」だけだと freee は「未登録の勘定科目」 として扱い、その行のインポートに失敗します。先頭や末尾の空白も影響します。AucKit の入力欄に書いた文字列が、そのまま freee の仕訳の勘定科目欄に入る、と思っておいたほうが安全です。
取引先のほうはもう少し緩く、freee 側に登録されていない取引先名でも、インポート時に freee が新規登録までしてくれます。とはいえ、自分の運用ルールで取引先名を統一しておきたい場合は、ここで揃えておくと後が楽です。
freee の取引インポート画面に流し込む
整形済みの CSV をダウンロードしたら、freee の 取引インポート画面 に持っていきます。
https://secure.freee.co.jp/deals/import
この画面の たどり方が、最初は少し分かりにくい です。
freee の 会計帳簿 → 明細の一覧 画面にも、「+ 新規作成」 のドロップダウンから 「エクセルインポート」 というメニューがあります。ただし、こちらは xls / xlsx ファイル専用の画面で、CSV を投げると 「対応していないフォーマットです」 と弾かれます。AucKit が吐き出すのは CSV なので、こちらの入口は使いません。
正しい入口は 「取引のインポート」 のほうで、上の URL を直接アドレスバーに入れて開くのが手っ取り早いです。メニューから辿る場合は、次のルートになります。
- 取引入力 メニュー
- → 収入・支出形式(取引の一覧・登録) を開く
- → 画面右上の 「その他の機能」(三点リーダー)
- → 「取引データのインポート」 を選択
取引インポート画面が開いたら、
- データ種別を 「取引」 に(「口座振替」 ではなく)
- AucKit が吐き出した
売上金CSV_2026-06_freee_取引インポート.csvをドラッグ&ドロップ
これだけで、ファイルがアップロードされ、画面の下に 「3. 登録」 のセクションが現れます。
「3. 登録」 セクションには、CSV から読み取った内容のプレビューが、freee の仕訳形式で並びます。収支区分・管理番号・発生日・取引先・勘定科目・税区分・金額・税計算区分・備考が、freee の列に対応して入っているのを目で確認できます。
確認して問題なさそうなら、青い 「登録する」 ボタンを押します。
しばらく待つと、その月の売上が、freee の中に 1 件ずつの「収入(売上)」 として登録されます。
取引一覧画面に戻ると、ずらっと売上の行が並びます。これを 1 件ずつ手で打っていたらどうなっていたかを想像すると、整形機能の意義が体感としてつかめると思います。
ヤフオク本体の画面でもできること、できないこと
念のため、ヤフオク本体の機能で何ができて、何ができないかを整理しておきます。
ヤフオク本体の売上金管理画面でできること
- 月別の売上一覧の表示
- CSV のダウンロード
- 売上金の銀行口座への振込
- 1 件ずつの詳細表示
ここまでは標準機能で、追加コストなく使えます。
ヤフオク本体の機能だけではできないこと
- freee 取込用のフォーマットに変換すること
- 取引タイプ(売上 / 振込 / キャンセル)で行を分離すること
- 月次の集計を「freee に入れる売上」「現金振込」「キャンセル」のように分けて見ること
- 勘定科目・取引先・税区分を全行に一括で振ること
このギャップを、AucKit の 売上金 CSV 整形機能 が画面側から埋めにいく、というのが今回の構成です。
画面側からの効率化、という別軸
ヤフオクの売上金管理画面は、 ヤフオク側が見せたいもの(月次合計・振込ボタン・FAQ への導線)を中心に組まれています。一方、月末月初に出品者がやりたいのは 「その月の売上を会計ソフトに入れる」 ことです。両者の目的は、重なる部分もありますが、完全には一致しません。
ヤフオク側の立場で考えると、全出品者が freee を使っているわけではない という事情があるので、特定の会計ソフトに最適化した CSV 出力を標準機能として用意する選択はしにくいはずです。それはプラットフォーム側の合理性として、理解できる話です。
AucKit がやっているのは、この 「ヤフオク本体が広く浅くカバーしている部分」 と、 「個別の出品者が月末月初に本当にやりたいこと」 の間のギャップを、画面側から埋める作業です。ヤフオクのサーバーに何かを送ったり、規約に触れるような取得をしているわけではなく、ヤフオクが画面に表示している情報を、出品者の手元で整形し直して、別のフォーマットで出力しているだけです。
これは、前の記事(出品フォームから 17 件の不要要素を剥がす話)とも通じる構図です。 ヤフオク本体は 全ユーザー向け に画面を設計しています。AucKit は 出品作業を日常的に続けている個々の出品者向け に、ヤフオクの画面の上に整形を重ねます。両者は対立する関係ではなく、別のレイヤーで成立する効率化です。
おわりに: 月末月初の「面倒だけど必要な仕事」を圧縮する
ヤフオクで売上が積み上がってくると、出品作業そのもの以外に、月次の会計処理 という工程が新しく現れます。これは出品作業の延長というよりは別軸の事務作業で、放っておくと月末月初に丸 1 日かかったりもします。
AucKit の 売上金 CSV 整形機能 が肩代わりしているのは、まさにこの 「面倒だけど必要な仕事」 の中で、機械が得意な部分です。
- 取引タイプの判定
- 勘定科目・取引先・税区分の一括振分け
- freee 形式の備考欄の生成
- freee 取込用 CSV ファイルの出力
これは「ぜんぶ機械がやってくれる」 というよりは、「手作業の中で、いちばん退屈で間違えやすい部分を、機械側に渡せる」 という分担です。落札システム利用料や販売手数料の経費計上は別途必要ですし、決済(入金)処理は freee 側で出品者が確認しながら進めます。それでも、月末月初の負担はかなり違ってきます。
ヤフオクで売上が積み上がってきて、 freee への月次の取込に時間を取られている人がいたら、一度試してみてください。整形 → ダウンロード → freee にドラッグ&ドロップ、の流れを体験してもらうのが、一番わかりやすいはずです。